■ 4月26日(月)
余命わずかの卒業証書
<ニュース記事>
余命わずかの生徒に卒業証書、学校と同級生が1か月早い卒業式を開く。
米国では5月中旬から6月上旬が卒業シーズンですが、先日、それより1か月近くも早く、カンザス州の高校で一人の生徒のために卒業式が行われました。
米紙カンザスシティ・スターによると、この卒業式に臨んだのは、同州タンガノキシー・ハイスクールに通う18歳のコーナー・オルソンくん。
彼のために開かれた卒業式には、両親と祖父母、そして彼の世話をするホスピスの看護士らが参列しました。
実はコーナーくんは骨をむしばむガンのため余命わずかと診断され、同校が本来予定している卒業式まで命が持たないと言われていたのです。
しかもコーナーくんは、4月に入ってから病状が悪化。
病で弱った身体に脳卒中が起きてしまい左半身がマヒ、もうしゃべることも難しくなっていました。
これを知った学校側と同級生らは、なんとかコーナーくんに卒業証書を受け取ってもらいたいと、急遽、彼のための卒業式を計画。
両親に申し出ました。
当初、この計画を聞いたコーナーくんの両親は「晴れの舞台とはいえ、ガンの痛みで苦しんでいる息子に外出は無理ではないか」(カンザスシティ・スター紙より)と感じたそう。
しかしコーナーくんは「(卒業式の)ステージに上がりたい」と懇願。
両親もその強い意志に心を打たれ、卒業式に賛同したのです。
そしてすべての準備が整った4月15日、式の当日を迎えました。
この日学校側は特別に授業を半日で切り上げ、500人近い生徒が講堂に集合。
そこに赤と白の卒業ガウンを着たコーナーくんが通路に登場し、BGMに「威風堂々」が流れる中、知人らに車いすを押されステージに上がりました。
式の最中も痛み止めの点滴を受けていたコーナーくん。
手伝った友人たちとの間で、痛みがひどかった場合のジェスチャーを最初に取り決めておきました。
「痛みがあったら指1本、我慢できない痛みだった指2本を挙げること」(カンザスシティ・スター紙より)。
しかしコーナーくんは最後まで指を2本挙げることはせず、最後まで卒業式を乗り切ったそうです。
もうすぐこの世を去ってしまう彼の姿を見て、会場では思わず泣き崩れる友人も。ただ、コーナーくんは念願の卒業証書を手にして、とても幸せそうだったと伝えられています。
そして4月21日の夜、コーナーくんは18年間の短い生涯を閉じました。彼の父は「家族と友人に囲まれて、まさに彼が望んだ通りでした」(カンザスシティ・スター紙より)と語っています。
ナリナリドットコム
04月26日 10:03