児童虐待相談件数が増加中 生活が苦しいのも理由
児童虐待の相談受け付け件数が全国的に増加傾向にある。
厚労省の統計によると、過去5年間の件数は2004年度で3万3408件、05年度で3万4472件、06年度は3万7323件で、07年度にはついに4万639件だった。
08年度も増加は続き、4万2662件と依然減少する気配を見せない。
一体、どうしてここまで増加したのだろうか?
児童相談所職員は「これまで見えなかった虐待が表に出て来ただけ。
より実数に近くなっているのではないか」と見る。
00年度は1万7725件であった相談件数が翌01年度には2万3274件と一気に増加している。
同職員は「00年に児童虐待防止法が施行され、その中には『国民は児童虐待が疑われる場合、通報する義務がある』という条文が盛り込まれているため、『子どもの泣く声がする』『隣の家から大声が聞こえる』などの通報が寄せられ始めた」と原因を挙げる。
なお、08年に改正された同法では、児童虐待を受けている子どもを強制的に親元から引き離すことも可能になっている。
児童虐待の種類には・暴力を振るう身体的虐待・わいせつな行為を行なう性的虐待・保護・監視を怠るネグレクト・言葉などにより精神的ショックを与える心理的虐待―の4種類があり、このうち心理的虐待が増えているという。
その理由として、同法が改正され子どもにドメスティック・バイオレンス(DV)を見せることも心理的虐待となるため、警察などからの通報があるためだという。
一方、「実数に近くなっているのではなく、純粋に増加している」と話す児童相談所職員も。
この職員によると、「不景気の影響で仕事や家計が上手く行かず、つい子どもに手を上げたり酷いことを言ってしまう」という相談が増えているという。
「できれば子どもには幸せに育ってほしい。
でも、止められない」という悲鳴の声が保護者側からも上がっているのだ。
かつて、「子どもは国の宝」と言われた時代があった。
少子高齢化の現在、子どもは国の未来を支える重要な存在だ。
その子どもたちに対して大人たちが出来ることは何なのか。
取材した児童相談所の職員たちは「ちょっとでもおかしいと思ったら、すぐに相談所などの関係機関に通報してほしい」と口を揃えた。
平成21年5月03日
00時06分
アメーアニュース