抜群に出世する人の「15の行動」

 


 

■出世する人は早いうちに組織に慣れ親しんでいる

 

今回は、同世代の中でいち早く認められ、抜群のスピードで昇格する人の行動を私の20数年の観察にもとづき、紹介します。主に大企業や、経済雑誌などに登場する、一流のベンチャー企業を舞台とします。前回の記事の、落ちこぼれて、バカにされる人と比べると、感じ取ってもらえるものが多いと思います。

 

1.足元を早めに固めている

この場合の「足元」とは、私生活や会社での生活のことを意味する。例えば、25~27歳までくらいに結婚し、養うべき家族がいる人は「私生活では足場を固めている」といえる。あるいは、新卒として本命の会社に入社し、早いうちに組織に慣れ親しみ、20代後半で上司から同世代の社員よりも高く認められている人は、「職場で足元を固めている」ととらえることができる。
足場を固めている人は、心が穏やかになる。仕事に不満が少なく、前向きになるために、上司や周囲、取引先、お客などからの支援や支持を得やすい。このインフラがプラスとして作用し、出世街道を走る基盤となる。抜群に落ちこぼれる人は、30代半ばになっても、足元を固めることができずに、ブログの世界で1人で遊んでいる。実は、ネットの世界でも認められていないことに気がついていない。会社という「公」での生活が破たんしていて、私生活という「私」が成り立つと真剣に思い込んでいる。

 

2.履歴が汚れていない

1と表裏一体の関係にある。大企業や一流といわれるベンチャー企業の人事の担当役員らと取材の際、転職を繰り返す人について話すと、「履歴が汚れている人はいらない」と答える。「履歴が汚れている」とは、例えば、30代前半までに転職を繰り返し、その会社にエントリーするのが3~4社目以上になっている人を指すのだという。
これに対し、出世する人は、意味のない転職を繰り返すことはしない。ビジネス雑誌の表紙を時折飾る経営者が話していた。「数年で転職を繰り返す人は、業界や会社、仕事の下調べがいい加減。面接では面接官を騙し、入社するが、数年で退職する。2~3年で大きな成果を出せるほど、うちは甘くはない」。
出世する人は、転職をする場合も用意周到な準備をする。「雇用流動化」や「やりがい」といった、口にしている本人すら意味がわかっていない言葉に感化され、足元を見失っていくことはありえない。

 

■出世する人は若い頃から敵が少ない生き方をしている

 

3.敵が少ない

大企業であれ、ベンチャー企業であれ、必要以上に敵がいると、仕事をするうえでの障壁になる。これは、外資系企業にもいえる。「実力があれば、敵がいようと構わない」と豪語する人がいるが、これは事実関係として疑わしい。
そもそも、人を評価するのは上司を始め、周囲の人たち。実力があろうとも、認められなければ、それは意味のないもの。そのことを出世する人は、体で心得ている。20代の頃から敵が少ない生き方をしている。さらにいえば、敵を多数作る人は組織の中で生きていく力が著しく弱い。社外で生き抜く力は、さらに弱い。落ちこぼれていくのは、まさにこのタイプ。

 

4.「最低限度の支持者や味方」がいる

会社で働く以上、皆がライバルである。いざというときに大きな助けはもらえない。出世する人は、そのことを理解している。そして、最低限度の支持者や味方を作ろうとする。「最低限度」とは、人事や仕事の情報を多少教えてくれたりするレベルのこと。
出世する人はこれ以上のものを期待していないから、裏切りを受けようとも、平常心でいられる。落ちこぼれる人は、会社を否定しながら、会社に異様にしがみつく。だから、裏切られると、怒り、その人と絶縁する。そして孤立していく。職場では、本当の味方や支持者は永遠にできない。要は、「最低限度の支持者や味方」をいかに増やすことができるかが問われる。これがインフラになり、仕事の成果を押し上げる。落ちこぼれは生涯にわたり、インフラの意味がわからない。

 

■出世する人は盆暮れの付け届けを怠らない

 

5.後ろ盾がある

出世するためには、絶対に後ろ盾が必要になる。大多数の人は実績で上がるのではなく、上げてくれる人がいるから、上がるのである。課長よりも下にいる人たちの後ろ盾は、部長や本部長や執行役員などだ。この人たちは、必ず、勝ち馬に乗る。例えば、トラブルメーカーで、皆からバカにされている人を冷笑することはするが、手を差し伸べることはしない。
部長や本部長や執行役員らが上げようとするのは、同世代の中で上位2割に入る実績があり、直属上司から高い評価を受けていること。さらに、現在の部署などに「最低限度の支持者や味方」が多数いること。つまり、上に上げて、部員の6~7割が納得得するような人を選ぶものだ。後ろ盾は、ある日、徒然、できあがるものではない。落ちこぼれは、このことがいつまでもわからない。

 

6.自分のキャリアをコントロールしている

「自分のキャリアをコントロールする」とは、日頃から上司との関係を強化し、自分の求めている仕事やポジション、地位を伝え、洗脳すること。そして機会あるごとに支援をもらえるように上司にお願いをすること。人事の考課面談では、自分の評価を上司とともに作り込むかのように説得すること。
さらに、酒を一緒に飲んだり、あえて私生活の話をしたりして、警戒心を解くこと。これらを繰り返し、上司として合理的な判断ができないようにすること。そもそも、会社という人間社社会において、完全に「合理的な判断」は存在しない。
本部長から、今度は役員などを狙う時には、暮れに役員や社長などにお歳暮を贈ることもしたい。実際、大手企業や一流のベンチャー企業では、この「お歳暮攻撃」で専務の地位をつかんだ人もいる。勝てば官軍なのが、会社の出世競争。上がりたいならば、するべき。落ちこぼれは、自らのキャリアを上司や会社がなんとかしてくれる、と信じ込んでいる。そんな会社は、この世に存在しないことも理解していない。

 

■出世する人はヒットを量産する方法を知っている

 

7.仕事はホームランではなく、ヒットの繰り返し

日々の仕事では、大きな成果は狙うべきではない。むしろ、出世する人はヒットを繰り返し打つ。営業部でいえば、時折、契約額の大きなものを成立させるが、1年を振り返ると、契約額は部員20人の中で真ん中ぐらいでは、まず、抜群の出世はできない。
出世する人は、常に「そこそこの額」の契約を成立させ、1年間で20人のうち、上位1~3番に入る戦略をとる。上司も、この路線の人の挙げ足を取ることはなかなかできない。上司は優秀な部下に嫉妬する。隙を与えてはならない。
意識するべきは、ヒットの延長線上にホームランがあると考えること。そもそも、一定水準以上の会社ならば、それほど簡単にホームランを打つことはできないようになっている。落ちこぼれる人はこのようなことも知らずに、真剣にホームランを狙い、三振を繰り返し、バカにされていく。

 

8.仕事を処理するスピードが速い

ヒットの繰り返しは、周囲に好印象や安心感を与える。この印象の積み重ねが、高い評価につながる。高い評価の積み重ねが、他を圧倒するほどの出世になる。好印象の最もベースにあるのは、その人の仕事を処理するスピードである。ヒットを繰り返す人は、得てしてスピードが速い。スピードが速いから、仕事の量が増える。おのずと、ヒットの数が増え、ホームランも増えていく。
精度が求められるものならばともかく、まず大切であるのは、同世代の中で群を抜くほどの速さだ。速いと、少々、雑であろうとも、優秀な印象を与えることができる。印象を与えないと、チャンスすら与えられない。チャンスは掴み取るものであり、奪い取るもの。落ちこぼれる人は、仕事を処理するのが抜群に遅い。だから、チャンスなど、永遠にこない。それでもチャンス到来を願うから、笑い者になる。

 

■出世する人は会社のからくりを見抜いている

 

9.森をみたうえで、木をみるが、深入りはしない

落ちこぼれの人の仕事の進め方は、木をみるが、森をみないことが大きな特徴だ。気の毒なことに、森があることすら知らない。木しかみていないから、土壇場になり、慌てふためく。それでも、森をみることができない。
出世する人は、森をみて、何がポイントであり、何が重要ではないかを把握する。時間があれば、木の部分を処理するが、深入りはしない。会社員がするべき仕事で、木のところは実はどうでもいい部分であり、人事評価の対象になりえないことを察知しているからだ。
言い方を換えると、自分の上にいる人たちがかつて若かりし頃、木の部分をさらりと流していたことを見抜いているからだ。落ちこぼれは、会社のからくりを見抜くことができないが、出世する人は素早く見通す。その差は、あまりにも大きい。

 

10.多面的に接することができる

出世する人は20代の頃から、様々な顔を持つ。同世代、先輩、上司、取引先、お客とその都度、自分の考えや意識のあり方を柔軟に変えることができる。その意味で、多面的な人が多い。だからこそ、敵が少ない。インフラも作りやすくなる。
落ちこぼれる人は、あらゆる方面への対応におもしろいくらいに不器用だ。それぞれの人に振り回され、疲れ切って、自爆していく。答えは単純明快で、上司という自分の命綱を大切にし、そこを基軸にしたうえでの多面的なつきあいにしていないからだ。基軸がない多面性など、ありえないことすら、把握していない。

 

11.組織のからくりを10代の頃から体で理解している

出世する人は、10代の頃から、組織のからくりを体で理解している。「10代の頃から」がポイントだ。つまり、小中高のときに、例えば、組織の権力者に従わないと、自分が不利になることや、いじめを受けないように、弱い者には皆の前で適度に強気に出ておくこと。
さらには、喧嘩があったときには勝ち馬に常に乗ることで、自分の心を平穏無事の状態にし、勉強や運動にまい進できる体制を作ること。これらをきちんと学んでいる。これら一連のノウハウは、会社員になり、そっくりそのまま使えるものばかりだ。その意味で、会社で出世できるか否かは10代の頃に決まるといえよう。

 

■出世する人は腐らない

 

12.長い闘いに挑む体制がある

会社員の昇進・昇格をめぐる競争は長い。速いスピードで上がる時期もあるが、一時期は減速することがありうる。不遇な人事もあるだろう。そのときも腐ることなく、闘い抜くことができるかどうか。落ちこぼれは、これができない。少しのことで、感情的になり、自虐的に自分を追い詰め、潰れていく。
出世する人は、自虐的な思考にはならない。誇大妄想に近いくらいに前向きで、自らを奮い立たせ、前進していく。自虐的な思考になる人は、要は甘えでしかない。誰も同情などしないのだから。その意味では、出世する人は厳しい考え方をしている。

 

13.「選択と集中」を踏まえている

1つの仕事のポイントを徹底して理解し、そこに時間とエネルギーを集中させる。そして素早く、ハイレベルでこなす。つまりは、「選択と集中」がよくできているのが、出世する人たちだ。
会社のあらゆる仕事は一定水準以上の会社ならば、平準化・標準化・規格化が進んでいる。その中で、特殊な能力はいらない。社員間で大きな差がつかないようになっている。大学受験でいえば、特殊な問題ができる必要はない。そこで合否は決まらない。何よりも、頻出問題といえる、仕事のポイントを確実に見抜き、そこに集中させることだ。落ちこぼれの人は、特殊な問題も頻出問題の区別もつかずに、真剣に考え込み、自爆し、不合格となる。

 

14.心身ともに健康な状態を保っている

出世する人は、心身ともに健康な人が圧倒的に多い。競争社会である以上、これはやむを得ないこと。風邪やインフルエンザならばともかく、 入退院や休業を繰り返す人は同世代の中で昇格が相当に遅くなることは心得ておくべき。そのような状態でも、一定のペースで昇格できるならば、社員の質が相当に低い。本格的な大企業で抜群の出世を狙うならば、心身ともに健康であり続けないといけない。

 

■落ちこぼれに同情しない人が出世を一段と加速させる

 

15.「ブログが唯一の友達」を冷めた目でみて、突き放す

2008年、人事の雑誌で大企業に勤務する、20代後半の社員の座談会を催した。参加した6人は、人事部の推薦だった。いずれも、上司からの評価が抜群に高い。6年後の今、6人のうちの5人が30代前半で課長となっている。1人は海外支店の副支店長をしている。現時点では、抜群の出世といえる。
座談会のとき、この人たちは、ブログで見かける「会社にぶら下がるな!」「社畜になるな!」とか、「終身雇用・年功序列の打破!世代間抗争!」といった書き込みについて、大笑いをしながら話していた。「バカ大学を卒業し、フリーターしかできない人たちの書き込み」「ニートが書いているはず」と盛り上がっていた。「世代間抗争」いう言葉については、「同じ世代ということで、そんな人たちと一緒に括られたくない」「勝手に、抗争をしていれば?」と大笑いをしていた。
おそらく、この人たちの中から20年後、大企業や一流ベンチャー企業の役員などになる人が現れるのだろう。彼らは、同世代の負け組の人たち、つまり、ブログに書くことでしか、満たされない心を発散することができない人たちに同情は一切しない。笑いの対象にしかしていない。このひたむきさが、出世を一段と加速させる。

 

読者は抜群に出世する人だろうか。それとも、前回の記事で取り上げたような、落ちこぼれて、バカにされる人だろうか。それを決めるのは、会社や人事制度ではない。上司でもない。あなたの意識のあり方でしかない。

 


 

(吉田 典史:職場を生き抜け!)

BizCOLLEGE 7月9日(水)8時19分配信