韓国を慌てさせるアメリカの転向
「韓国には疲れる。あれはビョーキだ」
韓国がしつこく日本に迫る従軍慰安婦問題について、どうやらアメリカの空気が徐々に変わりつつある。
あまりに執拗な韓国の態度に、ほとほとヘキエキした大統領オバマが、
「韓国には疲れる。あれはビョーキだ」
昨年四月に訪韓した折、「元慰安婦が経験したことは、恐ろしく極悪非道な人権侵害だ。日本は解決に向けて積極的に努力すべきだ」
と述べたオバマにして、いまや「ビョーキだ」とウンザリしている。
オバマに限らない。
国務省ナンバー3のウェンディ・シャーマン次官は、安倍首相の訪米を控えて高まる韓国の「謝罪要求」について問われ、朴槿惠の名前は出さないまでも痛烈に批判した。
「指導者が民族感情を悪用して、相手の過去を非難して安っぽい拍手を浴びても、招くのは麻痺状態だけだ。後ろ向きだけでは何も解決しない。前向きで考えるべきだ」
シャーマン次官は、クリントン政権下で北朝鮮問題を担当した。
今年一月下旬、中韓日を歴訪して、ほとほと痛感したらしい。
右の発言には習近平も含むと見る観測もある。
同様の韓国批判は、すでに元高官からも出ている。
カート・キャンベル前国務次官補は、「朴槿惠は北の金正恩には無条件で会うと言いながら、なぜ安倍とは同じようにできないのか」と正面から朴槿惠を批判。
マイケル・オスリンAEI(シンクタンク、アメリカン・エンタプライズ)研究員は「韓国に好感を抱いている日本人ですら、いまや韓国疲労を訴えている」と述べ、リチャード・ローレス元国防副次官は「習近平は歴史認識問題を利用して、米日韓三国同盟から韓国を引き離そうとしている」と総括した。
韓国はこれに反発。
高官らは抑え気味だが、各紙は「日帝時代の暴虐、慰安婦の悲惨を知らないのか」と噛み付く。
ネットに至っては、「シャーマン次官は日本からいくらカネをもらったのか」「安っぽい拍手だって? だったらそれを彼女に送ろう」などと悪罵を投げつける。
特ダネを潰し、支局長を左遷したTBS
一方、未来志向に徹した安倍の米議会演説は十四回も総立ちの拍手を浴びた。
これを機に、アメリカの韓国批判は一段と高まりつつある。
論評のなかには、
「慰安婦問題は朴槿惠の父親・朴正煕(元大統領)に責任がある。日韓条約で八億ドル(実は五億ドル)のカネを日本から得ながら、それを財閥育成に回し、個人補償をしてこなかったツケが、いまの慰安婦問題の本質だ」
と父親の尻は娘が拭けといわんばかりの論評もある。
ようやく慰安婦問題の何たるかがわかってきた。
三月末、『週刊文春』(四月二日号)は「ベトナム戦争時、韓国軍がサイゴン近郊に慰安所を設けていた」とするTBSワシントン支局長・山口敬之の手記を掲載した。
山口は一年がかりの取材で、米公文書からこの事実を発掘した。
このスクープをTBSは放映しない。業を煮やして『週刊文春』に持ち込み、ために山口は営業部に左遷されている。
この記事について、さきごろ韓国の外報部は「反論のしようがない」とサジを投げている。
韓国はベトナム戦争に最精鋭のタイガー部隊(延べ三十万人)を送り込み、そのタイガーぶり(暴虐)がいまだにベトナム人の恨みを買っている。
彼らはベトナム女性を強姦しまくり、ために生まれた子供はライダイハンと呼ばれ、その数は三万人を超える。
TBSがそれを知らないはずはない。
キャスターの筑紫哲也をはじめ、ベトナム特派員経験者は数人いる。
彼らはそれを報道しない。
そして今度は山口の特ダネを潰し、挙げ句は彼を左遷する。理解に苦しむ対応だ。
韓国各紙が報じる「韓国孤立論」
韓国が『週刊文春』の記事を否定できない事情をアメリカは知っている。
ベトナムに派遣された米兵が、どのように性欲を処理していたかを知っているからだ。
アメリカは終戦時、日本政府に慰安所の設置を要求した。
大蔵官僚だった池田勇人(のちに首相)が一億円を工面し、この要求に応えている。
当初は中韓に同調していたアメリカは、これ以上、慰安婦問題をほじくり返せば、いずれはわが身の古傷も問題にされかねない。
依然として安倍の七十年談話に村山談話を継承すべきだとはいうものの、それは中韓へのリップサービスで、いまやホンネは安倍が談話をどう書こうが黙認する構えだ。
アメリカの離反を察知する韓国は大慌て。
いまや各紙は「韓国孤立論」を掲げ、そこに朴槿惠批判を籠める。
歴史問題を国内政治や外交の道具に使えば、いずれは「天に唾する」結果となることを、アメリカも韓国もようやく悟ったらしい。
九段靖之介
WiLL 6月17日(水)22時19分配信