新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、今年は学校が休校し、始業は遅れ、学校行事も延期や中止になり、多くの学校で夏休みが大幅に短縮される。
未成年者の自殺も3年連続で増えるなか、身の回りの変化に翻弄ほんろうされ、しんどい思いを抱える「君」に、悩み、傷つき、苦しんだ著名人たちがメッセージを送る。
ジャンポケ斉藤さん、「お前が虫だ」無理して笑った小3の夏
STOP自殺 #しんどい君へ
2020/07/03 05:00
生きていることがつらくて、絶望しかなくて、首をくくろうとしたこともありました。
だから今、苦しくて悩んでいる君に、「この先、楽しいことが待っている。頑張ろう」なんて軽々しくは言えません。
小3の頃、クラスで一番小さくて「チビ」とからかわれるようになりました。
上履きがなくなるとか、3階から自分の教科書が落ちてくるとか、そんなことは当たり前。
その夏、虫捕りに誘われました。
「これで、いじめは終わったんだ」とうれしくて舞い上がって、待ち合わせ場所に早めに行って待っていると、
木の陰から一斉に人が出てきて「お前が虫だ」と袋だたきにあいました。
泣くと、「俺らが悪いみたいになるじゃないか。笑えよ」と言われ、無理やり笑いました。
相手は11人でした。
恐怖におびえながらも、それを隠した
クラスで僕1人だけ誕生会に呼ばれなかった時もあります。
教室で泣いていたら、担任の先生から事情を聞かれました。
先生は「斉藤くんにも原因があるかもしれないね。聞いてみよう」と言いました。
僕はクラス全員から順番に、「気持ち悪い」「チビ」などと文句を言われました。
給食をよそってもらえない時期もありました。
授業中、「姿勢が悪い」と彫刻刀で背中を刺されることが続いた時には、
血が出ても親や周囲に悟られないように、黒い服を着ていきました。
いじめを受けていることは、1歳上の兄に相談していました。
優しい兄なのですが、「親には言うな」と口止めされました。
両親は共働きで忙しかったので、迷惑をかけてはいけない、心配をかけてはいけないと思い込んでいたのです。
恐怖におびえながらも、それを隠し、学校に通いました。
兄が駆け付け「何をやっているんだ」
小6になり、卒業アルバムの全体写真を撮る時、「お前を写真に残したくない。来るな」と言われ、登校しませんでした。
その頃から、体調不良を理由に休みがちになりました。
長く耐えてきたけれど、やっぱり学校に行くことが怖い。
限界だと感じたある日、自殺をしようとしました。
部屋にいると、異変に気づいた兄が駆けつけてきて、
「何やってるんだ。死んだら全てが終わる。絶対、時間が解決してくれるから」と叱られました。
時間は長くかかったけれど、高校に進学して人間関係が一新されると、いじめは本当に終わりました。
僕も兄も間違っていた…悪いのはやつら
中学の頃から、演劇に興味を持ちました。
自分という人間は存在しちゃいけないんじゃないか、でも、役になりきれば自分じゃない誰かになれると思って。
短大で演劇を専攻し、そこからお笑いの道に進みました。
いじめられた時のことは鮮明に覚えています。
いじめた人を許すことはできません。
でも、僕は今も生きていて、好きな仕事ができている。
だから、しんどい思いを抱える君には、
「君は変われる。誰かを頼ってほしい」ということを、やっぱり伝えたい。
振り返ると、僕も兄も完全に間違っていました。
親に早く相談するべきだった。
悪いのは、人を平気で傷つけるやつらの方なんだから。
もし、つらいこと、苦しいことがあったら、何かの機会を見つけて僕に直接、相談してほしい。
一人ひとり、悩みも状況も違うと思います。
僕は、自分を押し殺して耐えてきた時間が長かった分、君の痛みがほかの人よりも分かると思う。
この人なら自分のことを話せるという存在になりたい。
君の悩みに真摯しんしに向き合い、力になりたいと心の底から思っています。
僕はこれからも芸能界で頑張っていきます。
皆さんに笑いを届け、少しでも勇気を与えられる存在になれたらうれしいです。