ジャングルポケットの斉藤慎二さん(37)が、小中高校生の悩みに答える「斉藤さんの相談室」。

 

 

相談1 「いじめ体験をどうやって乗り越えましたか」

 

クラスでいじめを受けています。

体育で運動ができないことをバカにされ、誇張した私のマネをされます。

心の傷が癒えません。

斉藤さんはいじめ体験をどのように乗り越えましたか。

 

(関東地方・匿名希望 高校1年)

 

 

 

斉藤さんの回答 <まだ乗り越えていない。でも、世界が広がれば、新しい仲間がきっと生まれる>

 

僕はまだいじめを乗り越えていません。

自分を押し殺してきた時間が長すぎたので、克服したという感覚もありません。

忘れようとしても無理で、早めに親に相談すれば良かったと後悔する時もある。

心の傷も癒えていないし、僕と君はそんなに変わらない。 

僕は中学の時に見た演劇に衝撃を受けて、芝居を見ることが息抜きになりました。

役者になりきり、僕じゃない自分を想像の世界で演じる。

いじめるやつらに仕返しし、人生が逆転して幸せな自分の物語を描いてみる。

自然と笑えてきて、つらさが少し軽くなります。

「好きな何か」に没頭すると、周りのことを気にする暇もなくなってきます。

何かに情熱を傾けると自信も出てきます。

そこで世界が広がると、気の合う新しい仲間も見つかるかもしれない。

君は相談を寄せてくれ、自分で状況を変えようと前向きに行動している。

その勇気があるのだから、自信を持ってほしい。

 

 


 


 

 

相談2 「学校行きたくない」 

 

仲の良かったグループの中でいじめられるようになりました。

本を破られ、筆箱に落書きされ、無視され、私を見ながら内緒話をされました。

死ねと言われたこともあります。

 

ある時、グループの一人に、別の子に嫌がらせをしろと指示され、従いました。

すると、私のやったことだけが先生や親に伝わり、悪者にされました。

その子には謝って、反省も後悔もしています。

 

グループから離れようと決めて頑張って登校しましたが、「この世からいなくなれ、死ね」という手紙がげた箱に入っていて、新しい傘を壊されました。

 

先生に助けを求めても注意をしてくれず、信用できません。

その子たちに直接言うのも怖いです。

1か月くらい、ほとんど学校へ行っていません。

学校に行きたくないです。

どうしていけばいいですか。

 

匿名希望(中部地方・小学5年)

 

 

 

斉藤さんの回答 <心身を休めよう>

 

僕もいじめに耐えられなくなり、小6の時100日くらい休みました。

元々ぜんそくを持っていたので、両親には体調が悪いと訴えて休みました。

共働きで忙しかったためかウソはばれませんでした。

 

学校には、無理をしてまで行かないでください。

親が心配するとか、勉強が遅れるとか色々考えてしまうと、不安は大きくなります。

自分が悪いと考えがちですが、それは違います。

いじめる方が100%悪いです。

自分を絶対に責めないでください。

 

親には、率直に君の思いを話してみてください。

そして、学校への不安が取り除かれ、安全な場所だと確認できるまで離れていてください。

 

これからの長い人生を思えば、しばらく学校に行かないことなどたいしたことはありません。

「好きなことをして過ごそう」くらいの気持ちで、心身を休めて君らしさを取り戻す時間にしてください。

 

お便りでは、君が別の子に嫌がらせをしてしまったことにも触れていました。

本来なら隠しておきたいことのはず。素直で、誠実な子だと思いました。

そんなすてきな君自身を見失わないでほしい。

身を守ることを一番に考え、自分という人間を大切にしてください。

 

 

 

斉藤さんの「3か条のアドバイス」

 

(1)いじめられている君は100%悪くない。自分を一番大切にしよう

(2)助けを求めることに遠慮はいらない。信頼できる大人への相談が君の身を守る第一歩になる

(3)環境を変えるのは逃げではない。新しい出会いは君を変えてくれる

 

 

 

いじめ体験 語ってよかった

 

当初、過去のいじめ体験を語ることによる反響が怖かった。

僕を「バカなヤツだなー」と笑ってくれていた人が、「頑張ってきた人なんだ」「乗り越えた人なんだ」と見る目が変わったら、芸風に響く。

「もう笑えないよ」ってなるかもしれない。

 

でも今、多くの子供たちが生きづらさを感じ、悩んでいる現状がある中で、僕の過去を伝えることで多くの子を勇気づけることができたらと思い、取材を受けました。

掲載された後、僕のSNSにもたくさんのメッセージや相談が寄せられ、正解だったのかなと思いました。

 

僕は、いじめを両親に相談できなかったことをいまだに後悔しています。

でもみんなは、こうして何かを変えようと相談してきてくれた。

勇気を出して行動したことで、君はすでに一歩踏み出している。

だから自信を持って。

 

つらいこと、しんどいことがあったら、また僕に直接相談しなさい!