ポジティブ人生に世界中が涙

 

 

「こんにちは、私はニックさんです。はじめまして。高校で日本語を勉強しました。でも少しだけ。」
流ちょうな日本語を話すニックさん。彼は生まれながらに背負った困難に立ち向かっている。現在、世界中を飛び回り講演活動を行っている。彼の講演はとにかく笑いが絶えない。
生まれたときから両腕両足がないニックさんだが・・・ゴルフや釣りを楽しんだりと、とにかくなんでも挑戦する!スポーツだけではない、携帯電話の文字入力も驚きの速さ。
現在、カリフォルニアに住むニックさんは、世界中を回り、講演活動をしている。これまで講演した国は実に24カ国。インドでは12万人の人々の前で講演した。世界中を駆け回り、人々を励まし続けるニックさん。しかし、大きなハンディキャップを背負っているのにも関わらず、彼はなぜそんなに前向きでいられるのだろうか?

ニックさんは先天性疾患の『アザラシ肢症』と呼ばれる四肢のない状態で生まれた。アザラシ肢症とは、特徴的な四肢の長骨がない、または短く、手または足が直接胴体についている先天性疾患の1つだ。
そんなニックさんを両親は普通の学校で学んで欲しいと強く願っていた。そして・・障害者としてはオーストラリア国内で初めて、一般の教育を受ける生徒となった。成績は常にトップクラス、学校での様子は様々なメディアに取り上げられた。ところが、ニックさんは毎日クラスメイトからイジメを受けていた。
さらに、唯一の安息の場所であるはずの家でも別のつらさを感じ始めていた。それは・・・
ニック「一人じゃなにもできない。自分が家族の重荷になっているんじゃないか、そう思えてきたんだ」

ニックさんは当時の気持ちを講演でこう語っている。
ニック「8歳のとき、ボクには将来が見えてしまった。結婚は絶対にできない。そして仕事にも絶対につけない。僕には人生なんてないんだと思ってしまったんだ。」
そんなニックさんに母はこういい続けた。
「あなたはあちこち、欠けているけど、いいところもあるのよ。その事を忘れないでね」
ニック「手もない足もない。いいところなんか一つもないと思っていたけど、鏡を見たら瞳が綺麗だって思えたんだ。瞳はずっと変わらない。それで気持ちが前向きになったよ」
以来、ニックさんは積極的に周囲に話しかけるようになった。すると友達も増え、いじめられることもなくなっていった。

そんな彼に転機が訪れたのは、13歳のときだった。それは、事故で寝たきりになりながら、出来る限り自分のことは自分でやり、それどころか人の役に立つこともしている人物の新聞記事を読んだことだった。そこでニックさんは、自立して自分の人生を、他の人々を勇気づけるために使おうと決心した。
そしてニックさんは自律し、一人で生活を始めた。 Tシャツも器用に自分一人で着る。部屋の電気はゴルフのパターを使って点ける。もちろんおしゃれも欠かさない。自由自在にひげも剃れる。歯磨きも器用にこなす。

やがて大学に進学すると、会計学とファイナンシャルプランニングの学士号を取得。そしてこの頃、ニックさんは自分の経験を活かし、若者たちに向けて講演活動を始めた。
「外見や何が得意で何が不得意かなんてどうでもいい。ただありのままの自分が素晴らしいと伝えたいんだ。あまりにも大勢のティーンエイジャーたちが自分に価値がないって考えてると思うと怖い。女子のみんな、君たちはありのままで美しいよ。とても素晴らしい。僕は愛している。そして男子諸君、君たちはもっとしっかりやれ!」
笑いを交えながらニックさんは思いを伝える。

「生きていれば転んでしまうこともあるだろう。こんなふうに転んじゃったらどうすればいい?また起き上がらなきゃいけないよね?でも時には人生には転んでしまってもう起きられないと感じる時があるんだ。僕はこんなふうに寝転がっていて、顔も下がっていて手足も無い。起き上がるのは不可能かもしれない。でも違うんだ。僕は今まで100回起き上がろうと挑戦したんだ。もし100回やってもできなかったら僕はギブアップすると思う?違うよね?失敗しても挑戦し続ける限り起き上がるチャンスはあるんだ。強く耐え抜くことが大切なんだ。」
ニックさん自身の体験から発せられた真実の言葉の数々。その一つに一つに、若者たちは心を打たれ、勇気をもらう。

そして講演の中で必ずニックさんが語る話があるという。
「たまには投げ出して諦めたい時が来るかもしれない。でも決して諦めてはいけないんだ!決して、絶対に、永遠に諦めない!」
さまざまなことに挑戦するニックさんの姿は、それ自身が、諦めなければ克服できるという強いメッセージなのだ!そして今日も、また多くの人々がニックさんに励まされている。

世界中を励まし続けるニックさん。彼は私たちにこんなメッセージをくれた。
「愛する家族や思い出などを失ってしまった日本の方々のために祈っています。日本に行って皆さんとも話しをしたい、少しでも力になれれば・・・と思っています。」

 


奇跡体験!アンビリバボー
フジテレビ
2011年4月14日放送