(2009年12月10日10時59分 読売新聞)
小4作文「義足の少女」感動の輪
生まれつき左足がなく、義足をつけて生活している熊本県南阿蘇村立久木野小4年、藤崎未夏(みか)さん(10)の作文が、障害者週間(3〜9日)にちなんで内閣府が募集した「心の輪を広げる体験作文」の小学生部門で、総理大臣賞に選ばれた。
6日の本紙編集手帳であらすじを紹介したところ、「感動した」「全文を読むにはどうしたらいいか」といった声が久木野小や読売新聞社に続々と届くなど、反響が広がっている。
作文の題は「気持ちを伝えたい」。
義足を初めて見た1年生から「にせ物の足だ」と言われて傷ついたものの、担任の先生に勧められてありのままをみんなの前で話し、ショックを乗り越えた体験をつづった。
「同じように悩んでいる人が読んでくれて、『思い切って伝えてみよう』という気持ちになってもらえたら、うれしいです」。
総理大臣賞に選ばれた感想を未夏さんはそう話し、「来年また、成長した姿を作文に書きたい」と笑顔を見せる。
夢は作家になること。
サリドマイドによる薬害の被害者で、その半生が「典子は、今」という映画にもなった白井のり子さん(47)(熊本市)が3年前、同小に講演で訪れ、著書をプレゼントしてくれたことがきっかけだった。
両腕に障害があっても一人で身の回りのことをする白井さんの生き方に感動し、「体が不自由な人が読んで元気になるような本を私も書きたい」と、日々の出来事を作文にしているという。
本紙編集手帳で作品が紹介された後、同小には「涙が止まりませんでした」「勇気づけられました」といった声が電話や手紙で十数件寄せられ、読売新聞社にも同様の感想が相次いでいる。
「伸び伸び育って、夢をかなえてほしい」と母親の京子さん(34)。
白井さんも「やりたいと思ったことに挑戦し、いろんな経験をしてもらいたい」とエールを送る。