雪絵ちゃんの願い

 

 

このお話しは、雪絵ちゃんという素敵な女の子のお話です。
彼女は、「一人一人がみんな大切で、自分のこと大好きでいいんだよ」ということを、伝え続けてくれました。

 

 

雪絵ちゃんの話をします。
雪絵ちゃんと出会ったのは病弱養護学校という養護学校でした。
病弱養護学校というのは、心臓病だとか、喘息だとか、ネフローゼだという慢性の病気を持っておられて、地域の学校に通うことが難しいお子さんが通っておられる学校なんですね。
そこで雪絵ちゃんと出会いました。

雪絵ちゃんはMSという名前の病気を持っておられました。
MS,別名多発性硬化症という病気です。
どんな病気かというと、熱が出ると、目が見えなくなったり、手や足が動かしにくくなるという病気なんです。
見えないまんまかとか動かしにくいまんまかというと、そうではなくて、訓練をしている間に、だんだん見えるようになったり、動くようになったりするんですけれど、でも、発熱する前のところまで回復するというのは難しいので、だんだん見えなくなったり、だんだん動かなくなっていくという病気です。
それから見えないまんまということもあるし、動かないまんまということもあるんですね。
だから、私は雪絵ちゃんはどんなに再発するたびに、どんなに怖いだろうと思うのにね、雪絵ちゃんはいつもいつもね、とても元気に立ち直るんですね。

雪絵ちゃんは空から降る雪に、絵と書いて雪絵と言います。
雪絵ちゃんは12月28日生まれ、雪の降ったきれいな朝に生まれた女の子なんですね。

雪絵ちゃんは多発性硬化症、MSという病気を持っていたわけですけれど、雪絵ちゃんは口癖のように
「私はMSであることを後悔しないよ」と言いました。
「MSである雪絵をそのまま愛しているよ」と言いました。

「どうして?」と聞くと、

「だってね、MSになったからこそ気がつけたことがいっぱいあるよ。
もしMSでなかったらその素敵なことに気がつけなかったと思う。
私は、気がついている自分が好きだからMSでよかった」
と雪絵ちゃんは言うんです。

そしてね。
MSになったからこそ出会えた大好きな人が周りにいっぱいいるよ。
かっこちゃんにも会えたしね。
もしMSでなかったら違う素敵な人に会えたかもしれないけれど、私は今周りにいる人に会いたかった、かっこちゃんに会いたかったから、これでよかったよ。
目が見えなくなっても、手や足が動かなくなっても、息をするときに、人工呼吸器をつけなくてはならなくなっても、私はMSであることを決して後悔しない。
MSの雪絵を丸ごと愛しているって。

そういうふうに言い切る雪絵ちゃんはなんて素敵なんだろうと思います。
その雪絵ちゃんが、言っていることとか、それから、話してくれていることとか、書いてくれていることとか、素敵なことがいっぱいあって、私はいつも、雪絵ちゃんから元気や勇気をいっぱいもらうなあと思います。
これは幸せ気分という雪絵ちゃんの書いた本なんですけれど、ここから少し紹介させていただきます。

 

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