誕生日
私今日生まれたの。
一分一秒のくるいもなく、今日誕生しました。
少しでもずれていたら、今頃 健康だったかもしれない。
今の人生をおくるには、一分一秒のくるいもなく生まれてこなければいけなかったの。
けっこうこれってむずかしいだよ。
12月の28日、私の大好きで大切で幸せな日、 今日生まれてきて大成功。
Snow(雪絵ちゃんのペンネーム)に生まれてきて、これまた大成功。
雪絵ちゃんはやっぱり自分に生まれて、大成功、大正解って思ってたんだなあというふうに思いました。
それでも、私は、雪絵ちゃんが亡くなったことを、なかなか受けとめることができませんでした。
毎日毎日泣いていました。
悲しくて悲しくて。
そして、私は自分勝手な人間だなあって思うんですけど、雪絵ちゃん、なんで亡くなっちゃったの?
誰が私の話を毎日聞いてくれて、「よかったね」って言ってくれるの?ってそんなことを思っていたりしました。
ごはんも食べられないし、寝られないけれど、でも、ベッドの中に入って…。
学校のある間は学校にいるからいいんですけど、帰ってから、本当に何もできなくって、もうこのままじゃね、私もだめになってしまうのじゃないかなあって。
体重もどんどんやせていったんですね。
そしてまさにそんなときに、まるで背中をぽんぽんとたたかれたみたいに、あることがぱっと思い出されたんです。
なんか電気が走ったみたいなくらいだったんですけど…
それは雪絵ちゃんとした最後の約束でした。
私が、最後に雪絵ちゃんと長い会話をした日。
その日、雪絵ちゃんは、
「かっこちゃんにどうしても頼みたいことがあるから、家に来て」って言ったんです。
そして出かけて行ったら、雪絵ちゃんは
「今から話すことを絶対にきいてほしいお願いがあるの。絶対にだめって言わないでほしい」
って何回も何回も念を押すんです。
「私、雪絵ちゃんのお願いだったら何でもきくじゃない。
雪絵ちゃんは今まで私に、お願いなんかしたことないじゃない。
なんだってきくから言って」って。
そしたら雪絵ちゃんは「本当だよ」ってまた念を押して、こんなふうに言いました。
「かっこちゃん、前にね、障害とか病気とかとっても大切なんだよ。
科学的にも証明されているって言ったよね」って。
「言ったよ」って私が言うと、
「人は障害があるとかないとか、そんなことじゃなくって、誰もがみんな大切だっていうことも科学的に証明されているって言ったよね」
「言ったよ」
「じゃあ、それがね、世界中の人が知っている世界にかっこちゃんがして」
って雪絵ちゃんがそう言いました。
「なんでそんなこと私ができるの?」って私すぐに言おうと思いました。
そうしたら、雪絵ちゃんが「言わないで」って止めるんです。
「何も言っちゃだめ」って。
私は雪絵ちゃんがあんまり真剣だから、そのときね、「わかったよ」って言ってしまったんです。
だけど、できるなんてことはぜんぜん思っていません。
できるはずがないと思っていました。
でも、雪絵ちゃんはそのまま亡くなってしまいました。